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雨宮庸介「H&T. A,S&H. B&W.
(Heel&Toe. Apple,Stone&Human. Black&White.)」


snow contemporary
雨宮庸介「H&T. A,S&H. B&W.
(Heel&Toe. Apple,Stone&Human. Black&White.)」

会期:2021年9月3日(金)- 10月9日(土)13:00 - 19:00
*日・月・火・祝日は休廊
会場 : SNOW Contemporary / 東京都港区西麻布2-13-12 早野ビル404


SNOW Contemporaryでは2021年9月3日-10月9日まで雨宮庸介の個展「H&T. A,S&H. B&W. / Heel&Toe. Apple,Stone&Human. Black&White.」を開催いたします。

1975年茨城県水戸市生まれの雨宮は、1999年多摩美術大学美術学部油画専攻卒業後、2011年に渡欧し、現在はベルリンを拠点に活動しています。絵画や彫刻、プロジェクトや映像インスタレーション、パフォーマンスなど、さまざまなメディアを用いて表現活動をおこなう雨宮ですが、それら全ての作品には、「最も毒の無いテーマを扱っている体裁を丁寧に整え、気付かれずに軽量の爆弾を持ち帰らせるような仕組みを常に考えている」(2018年SNOW Contemporary個展・ステートメントより抜粋)と作家本人が語るように、日常における事象に対し、多重な在り方を感知させる仕組みが存在します。
日常から徐々に逸脱し、最終的には雨宮の創作する世界に引き込まれるパフォーマンス[「六本木クロッシング2010展:芸術は可能か?」(2010/森美術館)、「DOMANI・明日展」(2018 / 国立新美術館)などにて全開館時間に開催)]や、2014年から3314年まで6人の人が小さな石を5年ごとに引き継いでいくプロジェクト「1300年持ち歩かれた、なんでもない石」、溶けたりんごの彫刻作品「apple」など、僅かなズレを重ねることで、鑑賞者を日常から人間や世界の普遍性に迫ろうとする作品群は、一度体験することで、鑑賞前には意識することなく存在していた事象に対し、鑑賞後には今までと異なる見え方がするようになっている自分に気付かされるという「爆弾」を鑑賞者の内面に仕込みます。

この度の個展「H&T. A,S&H. B&W. (Heel&Toe. Apple,Stone&Human. Black&White.)」では、ドローイングの近作とともに、活動初期から取り組んでいる雨宮作品のアイコンというべきりんごの作品群を一堂に集めた展示空間を発表いたします。この機会に雨宮独自の作品制作へのアプローチをご高覧いただき、それによって生じる認識の変容を是非ご体験いただけると幸いです。
*なお、現在雨宮庸介は以下の展覧会にも出品中です。
-「Reborn-Art Festival 2021-22」(宮城県石巻市 / ~9月26日)
URL:https://www.reborn-art-fes.jp
-「りんご宇宙 ― Apple Cycle / Cosmic Seed」(弘前れんが倉庫美術館、青森県 / ~8月29日)
URL:https://www.hirosaki-moca.jp/exhibitions/apple-cycle-cosmic-seed/



H&T. A,S&H. B&W.
雨宮庸介


このタイトルはヒール&トゥー、アップル、ストーン&ヒューマン。ブラック&ホワイトと発音します。最初のH&Tはあとまわしにして、A, S&H. B&Wについて話してしまうと、A, S&H.りんごや石や人間、というのは、僕が好んで使う作品やプロジェクトのモチーフで、B&Wはブラックアンドホワイト、白黒という意味です。ことあるごとに話している気がしますが、りんごや石や人間などを好んでいる理由は、「だいたい世界中どこにでもある」からです。僕の理想の「作品が効く」経路は、まず展覧会で最初にみていただいた時に、殺傷能力の低い小さい爆弾をポケットにそっといれて(2018年の個展のステイトメント)、しばらくしてからお客さん各自の日常で小さく爆発し、それによって世界が、パタパタと景色をかえてみえる、そんな経路のことです。展覧会場をはなれたずっとあとで、スーパーマーケットでリンゴを手にした時に起こること。そんなことを期待するために、りんごや石や人間など、世界中にあるものを好んでモチーフにするのです。ブラックアンドホワイトは、文字通り白黒の彫刻のことです。こちらは、文字通り白黒で描くことで「実はこの世界が(自分が)総天然色だった」という当たり前のことに立ち返る=祝福する、みたいなことを目指している作品群になります。

さて、H&TはHeel and Toe (ヒールアンドトゥー)で、これはカーレーシングで使うマニュアルシフト運転テクニックのひとつです。コーナーに突入する時にスピードを落としつつ回転数を下げないでコーナーを抜けた時にギアチェンジを最適な状態でする、というもので、右足でアクセルとブレーキを同時に踏み込むテクニックです。(もう自動運転がすぐそこにきている世の中でマニュアルシフトについて語ったところで誰が共感するのだろう、というところでもありますが)

僕がよくつくる溶けたリンゴや白黒のものもそうですが、例えば溶けたリンゴなんてものは実際世の中に存在しないものなので、形が溶けてしまっていると「本物っぽく見えない」わけです。そのぶん、溶けてないリンゴよりも「リンゴらしさ」をあげていかないと成立しません。また、白黒の彫刻も同じく、たとえばリンゴの最大の特徴の一つの「赤い」という要素を著しく欠損させてしまうので、そのぶんリンゴに見えるようにするためにはより「そのものらしさ」を他で著しく上昇させないといけないわけです。その「認識のアクセルとブレーキを同時に踏み込んで、静止しているはずの彫刻に振動をあたえつづける」みたいなことを果物彫刻のなかでしようとしているのです。

今回の展示では、溶けたリンゴの彫刻や、白黒の彫刻シリーズ、それからコロナ禍中に描かれたドローイングなどを一つのテーブルにのせて照明をほどこしたプレゼンテーションをします。 ます。

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