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竹内公太「盲目の爆弾」

snow contemporary
盲目の爆弾、コウモリの方法 2019, 映像作品より
竹内公太「盲目の爆弾」

会期:2019年3月8日(金) - 4月13日(土) 13:00 - 19:00
*日・月・火・祝日は休廊
オープニングレセプション:3月8日(金)18:00 - 20:00
会場:SNOW Contemporary


SNOW Contemporaryでは2019年3月8日(金)から4月13日(土)まで、竹内公太による個展「盲目の爆弾」を開催いたします。

1982年生まれの竹内は、2008年東京藝術大学美術学部先端芸術表現科を卒業し、現在は福島県を拠点に活動しています。竹内はこれまで、ふくいちライブカメラのモニターに突如現れた指差し作業員の代理人として災害を見る側の意識と匿名表現者の自意識を浮き彫りにした「公然の秘密」(2012 / SNOW Contemporary、東京) や、遺物を中心に刻まれた記憶を辿った「影を食う光」(2013 / 森美術館、福島)、手(=携帯機器)で情報を取得する我々の風景をとらえた「手の目」(2014 / SNOW Contemporary、東京)、福島県いわき市の図書館で出会った書籍に掲載された石碑巡りをトレースすることでメディアの性質と人の記憶の有り様を示した「写真は石碑を石にする、それでも人は」(2017 / SNOW Contemporary)など、緻密なリサーチを元に、絵画や彫刻、写真、インスタレーションなど一定の表現方法にこだわらない多岐にわたるメディアによる展示を展開し、記憶や記録に転換する際のメディアの在り方や受け手の意識を浮き彫りにしてきました。

そして2017年、竹内はアジア・カルチュラル・カウンシル・日米芸術交流プログラムにて、旧原子力開発施設の視察と日米戦争関連の調査のためアメリカに約6ヶ月間、滞在していました。本展では、第二次世界大戦時の1944年から翌年にかけて日本軍によって投下された風船爆弾の歴史を題材とした映像・写真作品を発表いたします。映像作品「盲目の爆弾、コウモリの方法」は米軍記録文書等を参考にカリフォルニア、ワシントン、アイダホ、ユタ、ミシガン、モンタナ、ワイオミング、そして福島、北茨城、千葉でのフィールドワークを元に制作されました。国内近代史にまつわる記憶や遺産をたどる作品群を発表し続けてきた竹内が、日米をまたいでの調査をベースに制作した新作に是非ご期待ください。


■アーティストステートメント
第二次世界大戦末期に日本は風船爆弾という兵器を使いました。直径10メートルの和紙製の風船気球に水素を詰め爆弾をぶら下げたものをおよそ9300発、アメリカに向けて放ちました。歴史研究は今も続けられていて、風船爆弾を題材とした小説が近年相次いで出版されています。アメリカでも2014年に歴史家によるノンフィクションが出版されました。
私は私の住む福島県いわき市が放球地のひとつだったことから調べ始めました。2017年にアメリカに行く機会を得たので、国立公文書館に行って当時の米軍情報部の報告書を読みました。予想以上に多くの目撃者がいた事、詳しい着弾場所がわかることに驚きました。

いくつかの着弾場所を探して訪問し、小型ドローンで"風船の最後の動き"の再現を試みました。
あるサウンドアーティストにこの話をしたところ、それってエコーだね、と言われました。文書を手がかりに、73年遅れのエコーロケーション(コウモリが超音波を用いて暗い洞窟を飛行する方法のよう)というわけです。

しかし、これは本来目のない兵器の"視線"を撮影するわけで、奇妙なことです。こうなったら私は、Harun Farockiの言った"ファントム・イメージ"の、日本版亜種を作ってみたいと考えました。
現代の遠隔兵器にはカメラがついていて、相手の姿を捉えて攻撃しています。一方、風船爆弾は、相手側に何をもたらすか、視認する手段もなく大量に放たれ続け、作戦終了しました(実際は6名の民間人を殺害していました)。この点で、自ら進んで盲目に陥ることで戦争を推進した、日本という国の技術礼賛体質をよく表しているように思えます。

私は盲目を野蛮の言い訳にせず、知のきっかけにしたいと思います。本展でもそれを目指します。
盲者の、あるいはコウモリの知にならって。
2019年1月19日
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