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村田真「上の空」

snow contemporary
村田真「上の空」

会期: 2018年7月20日(金) - 8月11日(土) 13:00 - 19:00
*日・月・火は休廊
アーティストトーク:7月21日(土)17:00 - 18:00
          8月4日(土)17:00 - 18:00
会場:SNOW Contemporary
※東京藝術大学陳列館で開催される「1940's フジタ・トリビュート」にも出品します。
 7月28日(金)~8月15日(水)月曜休館 10:00-18:00 入場無料


SNOW Contemporaryでは2018年7月20日(金)から8月11日(土)まで、村田真による個展「上の空」を開催いたします。
村田真は『ぴあ』編集者を経て美術ジャーナリストとして長らく活躍し、「美術家になるには」(2002/なるにはBOOKS)、「アートのみかた」(2010/BankART)、「いかに戦争は描かれたか」(2017/BankART 1929)など多数の著書を出版、朝日新聞や北海道新聞に美術評を書くかたわらBankARTスクール校長を務め、長年に渡り日本の美術界に大きく貢献してきました。美術に関する書き手としてはよく知られている村田ですが、13年前より作家としての制作も同時に再開、ジャーナリストらしいユニークな視点で制作された作品を発表しています。

この度のSNOW Contemporaryでの個展「上の空」では、フェルメールの《デルフトの眺望》やドラクロワの《ポワティエの戦い》など数々の歴史的名画の上半分のみを描いた作品群を発表いたします。村田はこれまで、フェルメールの「画中画」や、高橋由一の「豆腐」を考察しキャンバス自体を豆腐や焼き豆腐、油揚げに見立て描いた「豆腐絵画」、東京国立近代美術館におさめられている戦争画全153点を20分の1に縮小・模写した「プチ戦争画」シリーズなど、絵画史を引用したユーモラスな作品群を発表してきましたが、今回は世界的によく知られるドラマティックな名画の上半分に着眼した作品シリーズとなります。絵画作品の「上の空」部分は画面のおよそ半分を占めているにも関わらず、個々の作品の判別は困難であることに気づくでしょう。鑑賞者は、名画の上半分だけ描かれた作品を鑑賞することで、オリジナル作品を判別しようとし、その場所がどこで、主題がなんであるか想像を巡らせることになるでしょう。
本展によって得られる新たな視点が、絵画を成立させる諸要素をあらためて考察する機会となれば幸いです。


■村田 真 / アーティストステートメント
絵画には主題があり、主題を読み解くことが絵画の理解への第一歩となる。たとえばフェルメールの《デルフト眺望》の主題は、タイトルどおりデルフトという街の眺めだが、驚くことに街景は画面下半分に収まり、上半分は空(雲)しか描かれていない。これは、低地のオランダは空が広いことを表わしていると同時に、地上では人々が日々の生活を営み、街が刻々と変化しているのに対し、空は何千年も何万年も変わらす悠久の時を刻み続けているという、天と地の対比を表わしていると読み解くこともできる。主題は街景だが、その街の息づかいを強調するためにあえて空を大きく描いたのではないか。ドラクロワの《ポワティエの戦い》も、ターナーの《奴隷船》も、ジェリコーの《エプソムの競馬》もそうだ。いずれも画面下のほうでは壮絶な争いを繰り広げているが、上を見ると「なにをちまちま小競り合いをやってるんだ」といわんばかりに大空が広がっている。主題なんて「上の空」なのだ。たまには主題に振り回されず「上の空」を眺めてみたい。そんな「上の空」ばかりを描いてみた。
2018年5月29日
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