松下徹「開閉しろ都市 Part.2『常磐の部屋』」
会 期:2018年1月12日(金)- 2月3日(土)13:00 - 19:00
*日・月・火・祝日は休廊
オープニングレセプション:2018年1月12日(金)18:00 - 20:00
会 場:SNOW Contemporary
SNOW Contemporaryでは『開閉しろ都市』Part 2と題して、2018月1月12日より松下徹『常磐の部屋』を開催します。松下徹は1984年に神奈川県に生まれ、2010年に東京藝術大学先端芸術表現科大学院を卒業。松下はアメリカで過ごした高校生活の中でグラフィティ文化に触れて以来、グラフィティやストリートアートとそれらの文化に接続される表現の歴史を調査し、作品制作に反映させています。
在学中の2008年に展覧会を超えて運動へとつながっていく、若手アーティストたちが多数参加した「FRESH」を企画、その後は都市でどう生きて表現していくかをテーマにした「トウキョウアーバンアーート」(2011年)を皮切りに、現在の活動の核となるアーティストコレクティブ「SIDE CORE」を高須咲恵と共に2012年に発足します。現在的な問題意識に根ざした運動を巻き起こす活動をする一方、松下個人の制作は歴史の中の運動へと参加する絵画活動へ向けられています。
松下は今回、「常磐」をキーワードに制作しています。「常磐」とは常磐線や利根川が広がる地理的事象である一方、松下にとっては「つまらない郊外」の象徴でもあり、スタジオを持つ「制作の現場」も意味します。自身のアイデンティティがアメリカ文化にあると考えていた帰国子女の松下はある時、東京藝大の在学中から続く制作と生活の中で、思考の中心がアメリカから常磐に変化していることに気がつきます。国道沿いの「つまらない郊外」が自身の構成要素になっていると気がついた時、そのつまらなさに歴史の重層を見つけ、そこに描くべき対象や支持体を発見します。
松下の制作方法は、振り子運動でのドローイングが中心となります。その際、振り子の軸受芯をどこに設定するかは重要な問題であり、松下にとってアイデンティティの中心がアメリカから常磐へと変わることは、軸受芯が移動し、重心のストロークが変化したことを意味します。今回の展覧会は幾何学的な円を描くストロークのコラージュによる新作で構成されています。それは繰り返す毎日を描いているようでもあり、松下は少しずつずれてゆくそれらの線を可視化された時間の流れだと考えています。振り子運動のドローイングにコラージュの手法を取り入れるとその時間軸は切断され、絵画空間の中で中心は複数にずらされ、別の時間が現れます。
松下は言います「俺が究極的にかっこいいなと思ってるのはロコモーション(移動)。街に落ちてたり、田んぼの畔に落ちてたりするような板、そういうものの中から作っていく。そこに落ちている物から、その裏側にある時間を探る。そういうもので抽象絵画に挑みたい」と。それは物質性の絵画を行為としての絵画に召喚しながらも、感情を呼び起こすのではなく歴史的背景を召喚しようという試みです。松下の振り子運動の制作方法や、これまでの活動の中心を問い直す意欲的な新作展をぜひご高覧賜りますよう宜しく申し上げます。
会 期:2018年1月12日(金)- 2月3日(土)13:00 - 19:00
*日・月・火・祝日は休廊
オープニングレセプション:2018年1月12日(金)18:00 - 20:00
会 場:SNOW Contemporary
SNOW Contemporaryでは『開閉しろ都市』Part 2と題して、2018月1月12日より松下徹『常磐の部屋』を開催します。松下徹は1984年に神奈川県に生まれ、2010年に東京藝術大学先端芸術表現科大学院を卒業。松下はアメリカで過ごした高校生活の中でグラフィティ文化に触れて以来、グラフィティやストリートアートとそれらの文化に接続される表現の歴史を調査し、作品制作に反映させています。
在学中の2008年に展覧会を超えて運動へとつながっていく、若手アーティストたちが多数参加した「FRESH」を企画、その後は都市でどう生きて表現していくかをテーマにした「トウキョウアーバンアーート」(2011年)を皮切りに、現在の活動の核となるアーティストコレクティブ「SIDE CORE」を高須咲恵と共に2012年に発足します。現在的な問題意識に根ざした運動を巻き起こす活動をする一方、松下個人の制作は歴史の中の運動へと参加する絵画活動へ向けられています。
松下は今回、「常磐」をキーワードに制作しています。「常磐」とは常磐線や利根川が広がる地理的事象である一方、松下にとっては「つまらない郊外」の象徴でもあり、スタジオを持つ「制作の現場」も意味します。自身のアイデンティティがアメリカ文化にあると考えていた帰国子女の松下はある時、東京藝大の在学中から続く制作と生活の中で、思考の中心がアメリカから常磐に変化していることに気がつきます。国道沿いの「つまらない郊外」が自身の構成要素になっていると気がついた時、そのつまらなさに歴史の重層を見つけ、そこに描くべき対象や支持体を発見します。
松下の制作方法は、振り子運動でのドローイングが中心となります。その際、振り子の軸受芯をどこに設定するかは重要な問題であり、松下にとってアイデンティティの中心がアメリカから常磐へと変わることは、軸受芯が移動し、重心のストロークが変化したことを意味します。今回の展覧会は幾何学的な円を描くストロークのコラージュによる新作で構成されています。それは繰り返す毎日を描いているようでもあり、松下は少しずつずれてゆくそれらの線を可視化された時間の流れだと考えています。振り子運動のドローイングにコラージュの手法を取り入れるとその時間軸は切断され、絵画空間の中で中心は複数にずらされ、別の時間が現れます。
松下は言います「俺が究極的にかっこいいなと思ってるのはロコモーション(移動)。街に落ちてたり、田んぼの畔に落ちてたりするような板、そういうものの中から作っていく。そこに落ちている物から、その裏側にある時間を探る。そういうもので抽象絵画に挑みたい」と。それは物質性の絵画を行為としての絵画に召喚しながらも、感情を呼び起こすのではなく歴史的背景を召喚しようという試みです。松下の振り子運動の制作方法や、これまでの活動の中心を問い直す意欲的な新作展をぜひご高覧賜りますよう宜しく申し上げます。
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