竹内公太「Re:手の目」
会期: 2015年3月7日(土) - 3月22日(日) 13:00 - 20:00 *月曜休廊
オープニングレセプション: 3月7日(土) 18:00 - 20:00
会場/ SNOW Contemporary(XYZ collective)
SNOW Contemporary では 2015年3月7日(土)から22日(日)まで、竹内公太の個展を開催いたします。
これまで竹内は、ふくいちライブカメラのモニターに突如現れた指差し作業員の代理人として、災害を見る人の意識を浮き彫りにした「公然の秘密」(2012/SNOW Contemporary、東京) や、遺物を中心に刻まれた記憶を辿った「影を食う光」(2013/ 森美術館、福島 )の個展を開催し、公的なものに対する人の視線と意識を追った作品を発表し続けてきました。それらの作品は現代社会がもつ普遍的な特性を内包しており、国内のみならず海外の様々な都市で展示され、いずれも高い評価をうけてきました。
3回目となるこの度の個展ではタイトルを「Re: 手の目」とし、インスタレーションや映像などの新作を発表いたします。
手のひらに目玉を持つ日本の妖怪「手の目」。さまざまな情報をうつす携帯機器を片手に生きる我々は現在、その掌からどのような風景をとらえているのでしょうか。本展で竹内はこれまでの問題意識をさらに発展させ、私たちが生きる現代社会における記憶や想像力について再考します。竹内がみせる「Re: 手の目」の世界にどうぞご期待ください。
竹内公太 - アーティストステートメント
本展のタイトルである「Re:手の目」は、座頭の格好をした手のひらに目玉を持つ日本の妖怪の一種である「手の目」を召喚しようというものです。記憶のために”目で触ろうと”する人がテーマです。【注】
モニター付きの携帯機器を持ってうろうろ徘徊する人はさながら「手の目」のようです。手を使って見えないものを見る装置は、目の機能を一部手に移す、触覚的な装置です。レンズやモニターを通して世界を見るのは、明るい昼間に懐中電灯を使うような、盲目的なふるまいかもしれません。
ツールとして写真/映像を見ること、わずかな光を求め測定器を手に透明な空間を徘徊するような、対象に”目で触ろう”とする人の姿。彼らは痕跡の捉えづらい技術と世界において、物体的な実感を補うかのように、”目で触ろう”としているのではないでしょうか。透明、映像的、数値、光を求める体験。
一方でフィルムや印画紙の技術での、被写体への視線・光線・熱線の痕跡と、紙の表面の痕跡とを、実際に"焼き付けた"ものとして重ね合わせた想起。光に晒された被写体が、光による痕跡のリレーを経て、焼き付けられた紙という形で”目に触れる”に至る。不透明、物体的、皮膚(フィルム)、光を受ける体験。
しかし写真/映像を単に”目に触れる”もの、受け入れるもの、証拠らしきものを人の目に与えるものとしてだけ捉えれば、何が可視化されるか、ということが価値になり、真贋論争にもなます。私は、どのような視線を誘うのか、撮影者/編集者のいかなる欲望の発露であるかということ、例えば物体的な痕跡の乏しい、透明な世界と技術において、いかに触覚を求めた手探りなのかというような、視線と手のありようを含めて、イメージとか、記憶と呼びたいと思います。
本展では、ツールとしての写真/映像を大げさに手作業により再現します。作品をもって現実の証拠などとはしません。そのかわりに、「手の目」としての再現を通じて、鑑賞者の視線へ介入し、痕跡と記憶の関係(あるいは「歴史と想像の関係」)の再提案を目論みます。昔の写真を手に、未来の技術を待ちながら。
2014年12月22日
【注】放射線測定器とカメラを持って徘徊する人々、歩きスマホでのトラブルのニュースなどを見つつ、浪江や南相馬でフロッタージュを制作する岡部昌生さんの取り組みなどに感銘を受けながら構想した。
会期: 2015年3月7日(土) - 3月22日(日) 13:00 - 20:00 *月曜休廊
オープニングレセプション: 3月7日(土) 18:00 - 20:00
会場/ SNOW Contemporary(XYZ collective)
SNOW Contemporary では 2015年3月7日(土)から22日(日)まで、竹内公太の個展を開催いたします。
これまで竹内は、ふくいちライブカメラのモニターに突如現れた指差し作業員の代理人として、災害を見る人の意識を浮き彫りにした「公然の秘密」(2012/SNOW Contemporary、東京) や、遺物を中心に刻まれた記憶を辿った「影を食う光」(2013/ 森美術館、福島 )の個展を開催し、公的なものに対する人の視線と意識を追った作品を発表し続けてきました。それらの作品は現代社会がもつ普遍的な特性を内包しており、国内のみならず海外の様々な都市で展示され、いずれも高い評価をうけてきました。
3回目となるこの度の個展ではタイトルを「Re: 手の目」とし、インスタレーションや映像などの新作を発表いたします。
手のひらに目玉を持つ日本の妖怪「手の目」。さまざまな情報をうつす携帯機器を片手に生きる我々は現在、その掌からどのような風景をとらえているのでしょうか。本展で竹内はこれまでの問題意識をさらに発展させ、私たちが生きる現代社会における記憶や想像力について再考します。竹内がみせる「Re: 手の目」の世界にどうぞご期待ください。
竹内公太 - アーティストステートメント
本展のタイトルである「Re:手の目」は、座頭の格好をした手のひらに目玉を持つ日本の妖怪の一種である「手の目」を召喚しようというものです。記憶のために”目で触ろうと”する人がテーマです。【注】
モニター付きの携帯機器を持ってうろうろ徘徊する人はさながら「手の目」のようです。手を使って見えないものを見る装置は、目の機能を一部手に移す、触覚的な装置です。レンズやモニターを通して世界を見るのは、明るい昼間に懐中電灯を使うような、盲目的なふるまいかもしれません。
ツールとして写真/映像を見ること、わずかな光を求め測定器を手に透明な空間を徘徊するような、対象に”目で触ろう”とする人の姿。彼らは痕跡の捉えづらい技術と世界において、物体的な実感を補うかのように、”目で触ろう”としているのではないでしょうか。透明、映像的、数値、光を求める体験。
一方でフィルムや印画紙の技術での、被写体への視線・光線・熱線の痕跡と、紙の表面の痕跡とを、実際に"焼き付けた"ものとして重ね合わせた想起。光に晒された被写体が、光による痕跡のリレーを経て、焼き付けられた紙という形で”目に触れる”に至る。不透明、物体的、皮膚(フィルム)、光を受ける体験。
しかし写真/映像を単に”目に触れる”もの、受け入れるもの、証拠らしきものを人の目に与えるものとしてだけ捉えれば、何が可視化されるか、ということが価値になり、真贋論争にもなます。私は、どのような視線を誘うのか、撮影者/編集者のいかなる欲望の発露であるかということ、例えば物体的な痕跡の乏しい、透明な世界と技術において、いかに触覚を求めた手探りなのかというような、視線と手のありようを含めて、イメージとか、記憶と呼びたいと思います。
本展では、ツールとしての写真/映像を大げさに手作業により再現します。作品をもって現実の証拠などとはしません。そのかわりに、「手の目」としての再現を通じて、鑑賞者の視線へ介入し、痕跡と記憶の関係(あるいは「歴史と想像の関係」)の再提案を目論みます。昔の写真を手に、未来の技術を待ちながら。
2014年12月22日
【注】放射線測定器とカメラを持って徘徊する人々、歩きスマホでのトラブルのニュースなどを見つつ、浪江や南相馬でフロッタージュを制作する岡部昌生さんの取り組みなどに感銘を受けながら構想した。
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