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飯沼英樹「美女」

snow contemporary
Flamboyance vanity 2011, cypress、h130x70x180cm
飯沼英樹「美女」

SNOW Contemporaryでは7月8日(金)から24日(日)まで、飯沼英樹の日本における初の個展「美女」を開催いたします。
1975 年生まれの飯沼英樹は、愛知県立芸術大学大学院卒業後、ナント国立美術大学(フランス)に入学。同学のヨーロッパ高等教育交流プログラム(ERASMUS)によりコペンハーゲン(デンマーク)、ミ ラノ(イタリア)、カールスルーエ(ドイツ)に留学し、ヨーロッパ各地にて個展やグループ展に出品、長らくヨーロッパで活躍していた木彫作家です。
今年2月に 3331 Arts Chiyoda にて開催されたアートフェア「TOKYO FRONTLINE」では、蛍光ピンクの壁を背景にブースをファッションショーのランウェイに見立てて展示するという、強烈な世界観 で日本での鮮烈なデビューを飾り大きな話題をよびました。
飯沼英樹の作品にみられる共通した特徴として、粗く彫られた木肌の質感が挙げられます。スケッチや下絵におこすことなく頭の中で形態のイメージを反芻し制作された作品は、繊細に彫られた箇所と、ささくれや節が生々しいざっくりした彫り跡の両面が混在し、鑑賞者の想像力をかき立てる絶妙なバランスを保っています。ファッション雑誌に掲載される女性や、東京の街を歩く一般女性のスナップショットをモチーフに制作された作品は、いずれもファッションに意欲的な今を生きる女性達であり、現代の社会とのつながりを強く感じさせます。また飯沼は自身で作品を撮影する際、ホワイトキューブではなく街中や自然を背景に選びます。本人には写真作品という意識はなく、木彫のイメージをよりわかりやすく伝えるために選択した手段ですが、「今」を捕えた飯沼の作品はどれも驚くほど現代社会の風景に溶け込み、新鮮な相乗効果を生み出しています。
このたびの日本での初個展では、飯沼は原点に立ち返り、作品に宿るべき「美」をひたすらに追求しています。飯沼を制作へと突き動かす情熱は、飯沼の考える「美」を形に表現するというシンプルな欲求です。それは人間の理想像を追い求めるピュグマリオン的価値観からくるものではなく、価値観が多様化する現代の「社会」に生きる作家が自ら考える「美」のあり方を、作品という形で提示するものです。
長らく海外を中心に活動を続けてきた飯沼英樹の、満を持しての国内初個展となる「美女」に、どうぞ ご期待ください。

会期:2011 年 7 月 8 日(金)- 7 月 24 日(日)12:00 ? 20:00

会場:XYZ collective (SNOW Contemporary) /東京都世田谷区弦巻 2-30-20 1F

オープニングレセプション: 7 月 8 日(金)17:00-20:00
トークショー:7 月 8 日(金)17:00-18:00 飯沼英樹 x 青山悟(アーティスト)

東京展終了後、本展は金沢のアートスペースSLANTに巡回いたします。
お近くにお寄りの際は、是非あわせてご覧ください。
※展示内容は、東京展とは若干異なります。
会期:2011 年7月 30 日(土)~8 月 14 日(日)月曜日定休 (入場無料) 時間:12:00 ? 20:00
会場:SLANT 石川県金沢市広坂1-2-32 北山堂ビル2F http://www.slant.jp/



「コンテンポラリーアートの面白さは、「視覚プレイ」と「頭脳プレイ」がどのようにして組み合わされているかによって決まる。極論すれば、ただ単にヴィジュアル的な面白さ、工芸的な見事さだけでは、新しい価値生成とは言えない。情報エネルギー、そして物質の「変換」(トランスミッション)がいかに行われているか。そこが一つの判定基準になるといってよい。飯沼英樹の作品は、このコンテンポラリーアートの今日的な条件を見事に達成している。街頭で「盗み撮り」された女の子たちの画像は、多くのケイタイで撮影された写真と「共有のまなざし」をもち、そしてそれが古典的な(原初的な)木彫へと変換される。それは、同時代の流動性や刹那へのダイブでありながら、時間を超えた「所有のよろこび」を人々に与える。アートという「変換」の面白さを見事に体現する飯沼英樹は、間違いなく、時代のフロントラインを切り開く重要な作家に成長するだろう」

後藤繁雄(京都造形芸術大学教授 / アートフェア TOKYO FRONTLINE ディレクター)


「意図的に稚拙さが残された木彫の表層は、美しい女性に対する彼の欲望を成就させることがない代わりに、畏怖にも似た憧憬のみを強調する」

青山悟(アーティスト)


「飯沼英樹は、何百年と続く日本の伝統的な木彫を習得したマイスターであり、彫刻に生命を吹き込む作家として展覧会に招待された。彼はファッションショーやモード雑誌、あるいは街を闊歩する女性を潜在的なモデルとし、作品化する。印象的なポーズをとり、キャリア志向だが同時にセクシーであることも忘れない現代的な女性を見事に表現している」

2010年3月24日「Tages Anzeiger」誌
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